ウェイト・タロットと生命の樹

78枚のアルカナと生命の樹との対応

まず、ウェイト版は、以下の三点を導入した点において、史上類を見ない逸品でしょう。

  • 哲学、宗教(主に、キリスト教、ユダヤ教)的シンボリズム
  • 古代エジプト、ギリシアに代表される神話におけるシンボリズム
  • 西洋美術(ルネッサンス)における図法、画法

さらに、タロット研究家たちが試みてきたことに、タロットと生命の樹との対応という作業がありましたが、中でもウェイトの対応は独創的で、8番と11番の札を入れ替えることで、78枚のアルカナとセフィロトとが完全に合致する体系を構築し、当時の魔術・オカルト愛好家、タロット愛好家たちにとって、ウェイトが出版したこのウェイト版、そして解説書「The Pictorial Key to the Tarot」は圧巻以外の何ものでもなかったのです。

生命の樹とは、ユダヤ神秘思想の一派「カバラ」の教義の体系図です。

白い柱と黒い柱を中心に構成されているその図の起源は、旧約聖書に遡ります。BC1020年頃、イスラエルの王・ソロモンが建造した巨大な神殿の玄関にはヤキンとボアズと呼ばれる青銅製空洞の柱が立てられたことが綴られています。「カバラ」の律法書「TORA」が旧約聖書の原典であることはよく知られていることです。「自分がされたくないことは、人にするな」が基本であったこの律法。最古の法律書「ハムラビ法典(「目には目を、歯には歯を」という刑罰報復」に取って代わり、広く世に流布してゆくことになったのです。ウェイト版の大アルカナは、22枚の寓意的な象徴札であり、人間に影響を及ぼす物理的な力や精神的な力が描き示されているもので、絶えず変わり行く一連の物語として、作り上げられています。連続するカードは、絵のようにうち連なるある人の運命的な出来事を表していると解説されることもあります。22枚の大アルカナは、既に馴染みがある現在のタロットのスタンダードに従った配列で作成されています。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です